柿沼陽平「晋代貨幣経済の構造とその特質」(『東方学』120、2010年7月)
晋代は銭・布帛中心の貨幣経済が展開したが、
秦漢代と異なり、銭が国家的決済手段ではなく、
市場における経済的流通手段となっていたとする。
戦国秦漢の貨幣経済について研究してきたからこそ、
晋代の貨幣経済の構造が見えてくるのだろう。
今後、さらに時代を下って、各時代の貨幣経済の構造を
明らかにしてくれるのが楽しみ。
2010年8月11日水曜日
2010年8月10日火曜日
第四回中国中古史青年学者国際研討会
第四回中国中古史青年学者国際研討会
日時:2010年8月27日~8月29日
会場:台湾大学文学院演講庁
プログラム
8月27日
09:20~10:10 李昭毅「従漢代「分等課役」原則説「傅」与「為正」」
コメント:阿部幸信
10:10~11:00 陳侃理「従陰陽書到明堂礼―読銀雀山漢簡〈迎四時〉」
コメント:游逸飛
11:20~12:10 陳識仁「寐寤之道:中国中古時代的睡眠観」
コメント:余欣
13:40~14:30 谷口建速「従長沙走馬樓呉簡看三国呉的給役与賦税」
コメント:孟彦弘
14:30~15:20 張文杰「走馬樓呉簡所見戸籍簡籍注内容試探」
コメント:魏斌
15:40~16:30 張栄強「「使戸」与「延戸」—江陵松柏漢簡所見的蛮夷編戸問題」
コメント:永田拓治
16:30~17:25 魏斌「漢晋南方人名考—単名・二名的展開及其意義」
コメント:呉修安・許凱翔
8月28日
09:00~09:50 徐沖「「処士功曹」小論:東漢後期的処士・故吏与君臣関係」
コメント:安部聡一郎
09:50~10:40 趙立新「南朝士人起家前的名声与交遊」
コメント:小尾孝夫
11:00~11:55 黃玫茵「唐代後期江南貶官研究─以江南六使区官僚的貶入遷出為中心」
コメント:游自勇・陳文龍
13:30~14:20 岡部毅史「関於北魏前期的位階秩序—以対爵与品的分析為中心」
コメント:胡鴻
14:20~15:10 吉田愛「東魏北斉的鄴和晋陽」
コメント:朱振宏
15:30~16:25 林静薇「東魏北齊遣使制度初探」
コメント:佐川英治・松下憲一
16:25~17:20 梶山智史「北魏的東清河崔氏—崔鴻《十六国春秋》編纂的背景」
コメント:古怡青・林宗閱
8月29日
09:00~09:50 内田昌功「南朝後期建康的朝堂布局」
コメント:孫正軍
09:50~10:40 藤井康隆「関於南北朝陵墓喪葬空間的構思和設計」
コメント:林聖智
11:00~11:50 陳昊「若隱若現的城市中被遺忘的屍體?—隋代中期至唐代初期的疾疫、疾病理論的轉化與長安城」
コメント:胡雲薇
13:30~14:20 顧江龍「漢唐婦女爵邑制度的演進」
コメント:鄭雅如
14:20~15:10 葉煒「唐代異姓爵的襲封問題」
コメント:戸川貴行
15:30~16:20 蔡宗憲「鄧艾祠廟的跨域分布及其祭祀爭議—中古神祠的個案研究之一」
コメント:雷聞
16:20~17:10 田中靖彦「澶淵之盟和曹操祭祀—関於真宗朝的「正統」的萌芽」
コメント:仇鹿鳴
今年は台湾で開催される中国中古史青年学者国際研討会。
日本・中国・台湾の若手研究者が結集していて壮観。
面白そうな報告がたくさん並んでいる。
日時:2010年8月27日~8月29日
会場:台湾大学文学院演講庁
プログラム
8月27日
09:20~10:10 李昭毅「従漢代「分等課役」原則説「傅」与「為正」」
コメント:阿部幸信
10:10~11:00 陳侃理「従陰陽書到明堂礼―読銀雀山漢簡〈迎四時〉」
コメント:游逸飛
11:20~12:10 陳識仁「寐寤之道:中国中古時代的睡眠観」
コメント:余欣
13:40~14:30 谷口建速「従長沙走馬樓呉簡看三国呉的給役与賦税」
コメント:孟彦弘
14:30~15:20 張文杰「走馬樓呉簡所見戸籍簡籍注内容試探」
コメント:魏斌
15:40~16:30 張栄強「「使戸」与「延戸」—江陵松柏漢簡所見的蛮夷編戸問題」
コメント:永田拓治
16:30~17:25 魏斌「漢晋南方人名考—単名・二名的展開及其意義」
コメント:呉修安・許凱翔
8月28日
09:00~09:50 徐沖「「処士功曹」小論:東漢後期的処士・故吏与君臣関係」
コメント:安部聡一郎
09:50~10:40 趙立新「南朝士人起家前的名声与交遊」
コメント:小尾孝夫
11:00~11:55 黃玫茵「唐代後期江南貶官研究─以江南六使区官僚的貶入遷出為中心」
コメント:游自勇・陳文龍
13:30~14:20 岡部毅史「関於北魏前期的位階秩序—以対爵与品的分析為中心」
コメント:胡鴻
14:20~15:10 吉田愛「東魏北斉的鄴和晋陽」
コメント:朱振宏
15:30~16:25 林静薇「東魏北齊遣使制度初探」
コメント:佐川英治・松下憲一
16:25~17:20 梶山智史「北魏的東清河崔氏—崔鴻《十六国春秋》編纂的背景」
コメント:古怡青・林宗閱
8月29日
09:00~09:50 内田昌功「南朝後期建康的朝堂布局」
コメント:孫正軍
09:50~10:40 藤井康隆「関於南北朝陵墓喪葬空間的構思和設計」
コメント:林聖智
11:00~11:50 陳昊「若隱若現的城市中被遺忘的屍體?—隋代中期至唐代初期的疾疫、疾病理論的轉化與長安城」
コメント:胡雲薇
13:30~14:20 顧江龍「漢唐婦女爵邑制度的演進」
コメント:鄭雅如
14:20~15:10 葉煒「唐代異姓爵的襲封問題」
コメント:戸川貴行
15:30~16:20 蔡宗憲「鄧艾祠廟的跨域分布及其祭祀爭議—中古神祠的個案研究之一」
コメント:雷聞
16:20~17:10 田中靖彦「澶淵之盟和曹操祭祀—関於真宗朝的「正統」的萌芽」
コメント:仇鹿鳴
今年は台湾で開催される中国中古史青年学者国際研討会。
日本・中国・台湾の若手研究者が結集していて壮観。
面白そうな報告がたくさん並んでいる。
2010年度魏晋南北朝史研究会大会
2010年度魏晋南北朝史研究会大会
日時:9月18日(土)13時~
会場:駒澤大学深沢校舎1-2講義室
[報告]
堀井裕之「墓誌からみた北魏後期~隋初における趙郡李氏と族葬墓の形成」
コメント 室山留美子
篠原啓方「高句麗墓誌の特長と、魏晋南北朝代墓誌の影響について」
コメント 三崎良章氏
[学会報告]
市来弘志「“高台魏晋墓与河西歴史文化学術研討会”参加記」
阿部幸信「“第四届中国中古史青年学者国際研討会”参加記」
日時:9月18日(土)13時~
会場:駒澤大学深沢校舎1-2講義室
[報告]
堀井裕之「墓誌からみた北魏後期~隋初における趙郡李氏と族葬墓の形成」
コメント 室山留美子
篠原啓方「高句麗墓誌の特長と、魏晋南北朝代墓誌の影響について」
コメント 三崎良章氏
[学会報告]
市来弘志「“高台魏晋墓与河西歴史文化学術研討会”参加記」
阿部幸信「“第四届中国中古史青年学者国際研討会”参加記」
2010年8月5日木曜日
書物を読み利用する歴史
バレンデ・テル・ハール著、丸山宏訳「書物を読み利用する歴史―新しい史料から―」(『東方学』120、2010年7月)
宗教書をもとに、明清期の非エリートの書物に対する
態度の一端を明らかにしようとしている。
取り上げられた宗教書は、龍華会(無為教)で作られた『七支因果』と
民衆叛乱の際に利用された『五公経』の二つ。
このうち、『五公経』については、
中国の古書サイト孔夫子を利用して、『五公経』の写本を検索し、
ヒットした古書店の地理的分布や数ページ分のスキャン画像をもとに、
『五公経』の写本が清・民国期広く流布していたとする。
斬新な手法で、なかなかまねできない。
宗教書をもとに、明清期の非エリートの書物に対する
態度の一端を明らかにしようとしている。
取り上げられた宗教書は、龍華会(無為教)で作られた『七支因果』と
民衆叛乱の際に利用された『五公経』の二つ。
このうち、『五公経』については、
中国の古書サイト孔夫子を利用して、『五公経』の写本を検索し、
ヒットした古書店の地理的分布や数ページ分のスキャン画像をもとに、
『五公経』の写本が清・民国期広く流布していたとする。
斬新な手法で、なかなかまねできない。
2010年8月4日水曜日
鮮卑拓跋氏の南下伝説と神獣
佐藤賢「鮮卑拓跋氏の南下伝説と神獣」(『九州大学東洋史論集』38、2010年4月)
考古学・環境史の成果と文化人類学・神話学の知見を援用し、
鮮卑拓跋氏の「南下伝説の背後に潜む史実」の解明を試みている。
史料の殆どない時代の史実に、どのように迫って行くか、
様々な学問分野を取り込んでいて興味深く、参考になります。
考古学・環境史の成果と文化人類学・神話学の知見を援用し、
鮮卑拓跋氏の「南下伝説の背後に潜む史実」の解明を試みている。
史料の殆どない時代の史実に、どのように迫って行くか、
様々な学問分野を取り込んでいて興味深く、参考になります。
中国貴族制と「封建」
渡邉義浩「中国貴族制と「封建」」(『東洋史研究』69-1、2010年6月)
中国の貴族制は「身分制として皇帝権力により組織された」とし、
なかでも両晋南北朝期の貴族制は、爵制を中心とした
「封建」という理念によって正統化されたとする。
そして、唐代に貴族の基準が、爵位ではなく官品に移行したことにより、
唐の貴族の自律性・世襲性が失われていくとする。
社会的身分としての貴族と国家的身分制としての貴族制とを
分離して考える必要性を指摘するなど、
様々な論点が提示されていて、とても刺激的。
貴族制の根本に位置付けられている爵制だが、
北朝の爵制は、まだはっきりしてない部分が多いので、
今後、研究を進めていく必要がありそう。
中国の貴族制は「身分制として皇帝権力により組織された」とし、
なかでも両晋南北朝期の貴族制は、爵制を中心とした
「封建」という理念によって正統化されたとする。
そして、唐代に貴族の基準が、爵位ではなく官品に移行したことにより、
唐の貴族の自律性・世襲性が失われていくとする。
社会的身分としての貴族と国家的身分制としての貴族制とを
分離して考える必要性を指摘するなど、
様々な論点が提示されていて、とても刺激的。
貴族制の根本に位置付けられている爵制だが、
北朝の爵制は、まだはっきりしてない部分が多いので、
今後、研究を進めていく必要がありそう。
2010年8月2日月曜日
第五回三国志学会大会
三国志学会 第五回大会
日時:2010年9月11日(土)
会場:二松学舎大学 九段キャンパス3号館 3021教室
参加費:500円(会員無料)
【研究報告】
10:10~11:00 松尾亜季子「蜀漢の南中政策と「西南シルクロード」」
11:10~12:00 藤巻尚子「結びつけられる三国志と太平記―近世初期の学問・思想の一齣として」
13:00~13:50 仙石知子「毛宗崗本『三国志演義』における養子の表現」
14:00~14:50 稀代麻也子「劉楨―「文学」の「感」」
【講演】
15:30~17:00 興膳宏「人物評価における「清」字」
三国志学会ももう五年目に突入。
今年は史学分野の報告が殆どないですね。
日時:2010年9月11日(土)
会場:二松学舎大学 九段キャンパス3号館 3021教室
参加費:500円(会員無料)
【研究報告】
10:10~11:00 松尾亜季子「蜀漢の南中政策と「西南シルクロード」」
11:10~12:00 藤巻尚子「結びつけられる三国志と太平記―近世初期の学問・思想の一齣として」
13:00~13:50 仙石知子「毛宗崗本『三国志演義』における養子の表現」
14:00~14:50 稀代麻也子「劉楨―「文学」の「感」」
【講演】
15:30~17:00 興膳宏「人物評価における「清」字」
三国志学会ももう五年目に突入。
今年は史学分野の報告が殆どないですね。
東方学120
『東方学』第120輯(東方学会、2010年7月)
今号も興味深い論文が多数並んでいる。
目次は以下の通り。
【論文】
中嶋隆蔵「隋唐以前における「静坐」」
柿沼陽平「晋代貨幣経済の構造とその特質」
江川式部「唐代の上墓儀礼―墓祭習俗の礼典編入とその意義について―」
遠藤星希「李賀の詩における時間認識についての一考察―太陽の停止から破壊へ―」
村上正和「清代中期北京内城における芸能活動と演劇政策―宗室・旗人との関係を中心に―」
王俊文「武田泰淳における「阿Q」―「私」の分裂と浮遊―」
栗山保之「イエメン・ラスール朝時代のアデン港税関―その輸出入通関について―」
金京南「「三界唯心」考―『十地経論』における世親の解釈とその背景―」
【翻訳】
バレンデ・テル・ハール著、丸山宏訳「書物を読み利用する歴史―新しい史料から―」
【内外東方学界消息(百十九)】
ジョナサン・シルク著、ロルフ・ギーブル訳「追悼 エーリック・チュルヒヤー教授(1928年9月13日~2008年2月7日)」
丘山新「悼念任継愈先生」
赤松明彦「第14回国際サンスクリット学会報告」
【座談会】
「先学を語る」――河野六郎博士
〔出席〕梅田博之、大江孝男、辻 星児、坂井健一、古屋昭弘
【追悼文】
中野美代子「追憶の伊藤漱平先生―「漱平」さんから「伊藤教授」まで―」
大木康「伊藤漱平先生を偲んで」
斯波義信「石井米雄先生を偲ぶ―東洋文庫と先生―」
桜井由躬雄「石井米雄先生追悼―栄光の官職・研究の孤独―」
野口鐡郎「追悼 酒井忠夫先生」
今号も興味深い論文が多数並んでいる。
目次は以下の通り。
【論文】
中嶋隆蔵「隋唐以前における「静坐」」
柿沼陽平「晋代貨幣経済の構造とその特質」
江川式部「唐代の上墓儀礼―墓祭習俗の礼典編入とその意義について―」
遠藤星希「李賀の詩における時間認識についての一考察―太陽の停止から破壊へ―」
村上正和「清代中期北京内城における芸能活動と演劇政策―宗室・旗人との関係を中心に―」
王俊文「武田泰淳における「阿Q」―「私」の分裂と浮遊―」
栗山保之「イエメン・ラスール朝時代のアデン港税関―その輸出入通関について―」
金京南「「三界唯心」考―『十地経論』における世親の解釈とその背景―」
【翻訳】
バレンデ・テル・ハール著、丸山宏訳「書物を読み利用する歴史―新しい史料から―」
【内外東方学界消息(百十九)】
ジョナサン・シルク著、ロルフ・ギーブル訳「追悼 エーリック・チュルヒヤー教授(1928年9月13日~2008年2月7日)」
丘山新「悼念任継愈先生」
赤松明彦「第14回国際サンスクリット学会報告」
【座談会】
「先学を語る」――河野六郎博士
〔出席〕梅田博之、大江孝男、辻 星児、坂井健一、古屋昭弘
【追悼文】
中野美代子「追憶の伊藤漱平先生―「漱平」さんから「伊藤教授」まで―」
大木康「伊藤漱平先生を偲んで」
斯波義信「石井米雄先生を偲ぶ―東洋文庫と先生―」
桜井由躬雄「石井米雄先生追悼―栄光の官職・研究の孤独―」
野口鐡郎「追悼 酒井忠夫先生」
神父と頭蓋骨
アミール・D・アクゼル著、林大訳『神父と頭蓋骨―北京原人を発見した「異端者」と進化論の発展―』(早川書房、2010年6月、原著は2007年出版)
著者は数理科学や科学者に関するノンフィクションを多数執筆している
統計学者・ノンフィクション作家。
今回の題材は、北京原人・人類進化の研究者でありながら、
敬虔なイエズズ会士であったピエール・テイヤール・ド・シャルダン。
神学と進化論の融合を図ったため、イエズス会に圧迫され続けた
テイヤールの人生の軌跡を巧みに描いている。
要所要所に人類化石の発見史や現在の研究状況も
織り交ぜられていてわかりやすい。
北京原人の発見・研究史も簡潔にまとめられている。
ただ、副題の「北京原人を発見した」という部分は、
英文副題が「……and the Search for Peking Man」となっているし、
テイヤールが発見したわけではないので、
「北京原人を探求した」ぐらいの方がよかったような気がします。
著者は数理科学や科学者に関するノンフィクションを多数執筆している
統計学者・ノンフィクション作家。
今回の題材は、北京原人・人類進化の研究者でありながら、
敬虔なイエズズ会士であったピエール・テイヤール・ド・シャルダン。
神学と進化論の融合を図ったため、イエズス会に圧迫され続けた
テイヤールの人生の軌跡を巧みに描いている。
要所要所に人類化石の発見史や現在の研究状況も
織り交ぜられていてわかりやすい。
北京原人の発見・研究史も簡潔にまとめられている。
ただ、副題の「北京原人を発見した」という部分は、
英文副題が「……and the Search for Peking Man」となっているし、
テイヤールが発見したわけではないので、
「北京原人を探求した」ぐらいの方がよかったような気がします。
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