2011年2月18日金曜日

名だたる蔵書家、隠れたる蔵書家

佐藤道生編『名だたる蔵書家、隠れたる蔵書家』(慶應義塾大学出版会、2010年11月)

慶應義塾大学文学部に開設されている極東証券寄附講座「文献学の世界」の2009年度の講義内容をまとめたもの。

目次は以下の通り
松原秀一「在塾の諸文庫」
佐藤道生「藤原道長の漢籍蒐集」
住吉朋彦「藤原頼長の学問と蔵書」
佐々木孝浩「蔵書家大内政弘をめぐって」
川上新一郎「慶應義塾図書館渡辺刀水文庫について」
井上修一「マリー・アントワネットの伝記と資料」
高橋勇「「書物狂」リチャード・ヒーバーとその蔵書」
高宮利行「ブリットウェル・コート蔵書の構築とその後」
石川透「赤木文庫・横山重について」
松田隆美「Derek Brewer旧蔵「神話学」コレクション」

講義内容がもとになっているということで、人によって気合いにずいぶん差がある。「藤原道長の漢籍蒐集」や「藤原頼長の学問と蔵書」が目当てだったのだけど、その他の渡辺刀水、ヒーバーといった「隠れた蔵書家」の話もおもしろかった。

内陸アジア出土古文献研究会3月例会

内陸アジア出土古文献研究会3月例会
日時:2011年3月12日(土)15:00~18:00
場所:財団法人東洋文庫7F 第1・2会議室

報告
片山章雄「大谷文書中の3種9層の霊芝雲の問題」
速水大・十時淳一・吉田章人「東洋文庫にて整理確認済みのマイクロフィルム中の胡漢文書について」

2011年2月10日木曜日

文化庁芸術メディア祭

先日、国立新美術館で開催されている
平成22年度[第14回]文化庁メディア芸術祭に行ってきました。

とりあえず、初台のNTTコミュニケーションセンターで見たクワクボリョウタ《10番目の感傷(点・線・面)》がアート部門の優秀賞に選ばれていて、嬉しくなった。

あと、マンガ部門の大賞が、岩明均『ヒストリエ』だったのもテンションあがった。最近、『アフターヌーン』読んでないけど、多分、あまり進んでないんだろうなぁ。早く新刊が読みたい。

休日に行ったせいか、かなりの人出で、作品を見るのも一苦労。アート部門とマンガ部門をじっくり見たので、エンターテイメント部門を見る時間が足りなくなってしまった……。残念。

そういえば、クワクボリョウタ《ニコダマ》も、エンターテイメント部門の審査委員会推薦作品になっていた。一人で2ジャンルでノミネートされるなんてすごいなぁ。

2011年2月9日水曜日

アジアが見た日本美術

東文研シンポジウム「アジアが見た日本美術」
日時:2月16日(水)
会場 東洋文化研究所第一会議室
報告
3時00分~3時25分 塚本麿充「皇帝の文物と北宋の社会―日本文物の交流からの視点」
3時25分~3時50分 板倉聖哲「15世紀寧波が見た東アジア絵画-金湜をめぐって」
3時50分~4時10分 質疑
4時10分~4時20分 休憩
4時20分~4時50分 頼毓芝「日本美術在中國: 從任伯年到吳昌碩」
4時50分~5時15分 大野公賀「豊子愷の「生活の芸術」論について」
5時15分~5時40分 質疑及び討論

第11回遼金西夏史研究会大会


第11回遼金西夏史研究会大会
日時:2011年3月19日(土)・20日(日)場所:大阪大学文学部豊中キャンパス

報告内容
(1)ミニシンポジウム「遼・金・西夏研究の現状と展望」 報告者:飯山知保・佐藤貴保・高井康典行

(2)研究報告
荒川慎太郎「2010年度内蒙古自治区文物考古研究所文献調査報告(西夏文文献編)」
田先千春「敦煌・トゥルファンの仏教絵画に用いられた基底材について」
藤野月子「中国における和蕃公主の降嫁について」
藤本匡「西夏法典中に見られる宗教規程について」
山内晋次「「東アジア史」再考 ──7~13世紀を中心に──」

磚画・壁画の環東アジア

国際ワークショップ:磚画・壁画の環東アジア

日時:2011年3月5日(土)午前10時~午後5時
会場:新潟大学五十嵐キャンパス総合教育研究棟D棟1階大会議室
内容
午前10時~ 趣旨説明:關尾史郎
午前10時20分~ 佐々木正治「四川農業画像磚から見る漢代墓葬画像の発展と系譜―四川と甘粛の比較から」
午前11時10分~ 三崎良章「甘粛の磚画と遼寧の壁画―墓主像の比較を中心として」
 昼休
午後1時~ 高橋秀樹「中国古代墓壁画に見られる西方的要素について―河西地域を中心として」
午後1時50分~ 内田宏美「画像資料に見る魏晋時代の武器―河西地域を中心として」
午後2時40分~ 荻美津夫「河西地域の磚画・壁画にみられる魏晋南北朝時代の楽器」
 休憩
午後3時45分~ 徐永大「講演:高句麗壁画に与えた遼寧壁画の影響について」
午後4時55分~ 閉会の挨拶

2011年2月7日月曜日

『集注文選』の成立過程について

陳翀「『集注文選』の成立過程について―平安の史料を手掛かりとして―」(『中国文学論集』38 、2009年12月)

昨年の「三菱が夢見た美術館」展に東洋文庫所蔵『集注文選』が出点されていたのだけど、図録の解説には、日本人によって作られたが撰者不明であるとあった。
この従来不明とされてきた国宝『集注文選』(旧抄本)の撰者を特定した論文。日本の古記録を丹念に見ていくことで、大江匡衡(952~1012)が一条天皇のために編纂したことを明らかにしている。

2011年2月6日日曜日

沈没船が教える世界史

ランドール・ササキ『沈没船が教える世界史』(メディアファクトリー新書、2010年12月)

水中考古学の概説書。欧米で盛んな学問であるため、アジアについてはちょっと薄め。ただ、第1章「大航海時代とカリブの海賊」、第2章「ヨーロッパを作った船たち」もおもしろい。キャプテン・キッドや「黒ひげ」の海賊船、アルマダ艦隊なども発見されているとは。

第3章は「沈没船が塗り替えるアジアの歴史」。泉州沈没船・新安沈没船にはあっさりふれるのみだが、日本の鷹島の元寇船についてはやや詳しく紹介している。ただ、元に関する記述が、やや古めかしいのが残念。
最も興味深かったのは、陳朝(大越・ヴェトナム)の陳興道が、元軍を撃退した白藤江の戦い跡から、戦いに用いた木杭が発見されたという記事。さらに現在、沈没船を探査中らしい。

水中考古学の魅力については第1章~第3章で思う存分伝わってきたのだが、現実をみせつけられるのが、第4章「沈没船発見マニュアル」と第5章「新しい真実を探して」。調査が難しいだけでなく、多額の費用もかかるし、保存処理も大変。しかも、民間業者による盗掘も多いし、開発で破壊されることもあるらしい。日本は行政的にも立ち遅れているようだ。

2011年2月5日土曜日

楊門女将「宜娘」考

松浦智子「楊門女将「宜娘」考―楊家将故事と播州楊氏―」(『東方学』121、2011年1月)

楊家将小説に登場する楊「宣娘」に着目し、その話柄の出自と形成過程を探っている。「宣娘」≒「宜娘」の考証を出発点に、元代の播州土司の楊氏の伝承との関連を指摘しています。

楊家将小説の形成に、まさか西南中国の播州楊氏が影響していたとは。また、播州の土司であった楊氏が、先祖を「楊家将」に仮託していたことも興味深かったです。楊家将小説の形成過程を追うことで、西南中国の土司の自己意識の変容過程も明らかにしていて、小説史であると同時に民族史の論文であるともいえます。とても面白くて勉強になりました。

2011年2月4日金曜日

図説書誌学

慶應義塾大学附属研究所斯道文庫編『図説 書誌学―古典籍を学ぶ―』(勉誠出版、2010年12月)

昨年11月29日(月)から12月4日(土)まで慶應義塾大学三田キャンパスで開催された「斯道文庫開設50年記念事業 書誌学展」の図録を出版したもの。

「Ⅰ書物との対話―書誌学研究の視点」と「Ⅱ斯道文庫の五十年―これまでとこれから」で構成されている。第Ⅰ部を読めば、書誌学の大まかな内容がわかる仕組み。コラムも充実しているし、フルカラーで図版がきれい。眺めているだけでも楽しめます。