松浦智子「楊門女将「宜娘」考―楊家将故事と播州楊氏―」(『東方学』121、2011年1月)
楊家将小説に登場する楊「宣娘」に着目し、その話柄の出自と形成過程を探っている。「宣娘」≒「宜娘」の考証を出発点に、元代の播州土司の楊氏の伝承との関連を指摘しています。
楊家将小説の形成に、まさか西南中国の播州楊氏が影響していたとは。また、播州の土司であった楊氏が、先祖を「楊家将」に仮託していたことも興味深かったです。楊家将小説の形成過程を追うことで、西南中国の土司の自己意識の変容過程も明らかにしていて、小説史であると同時に民族史の論文であるともいえます。とても面白くて勉強になりました。
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