2010年12月2日木曜日

東アジアの兵器革命

久松崇『東アジアの兵器革命―十六世紀中国に渡った日本の鉄砲―』(吉川弘文館、2010年12月)

朝鮮の役を契機に日本から明朝に伝播した鉄砲を切り口として、
16~17世紀の東アジアにおける兵器革命を描いている。
16世紀明朝に普及していた火器から日本の火縄銃や新式火器への変容、
明朝における制度的限界と後金の積極的受容の様子が示されている。
日本人捕虜(日本降夷)が家丁などに編入されて、
楊応龍の乱やモンゴル・女真との戦いに参加し、
火器の普及に一役買っていたとは驚きました。
東アジアにおける人的移動・交流の研究としても見ることができると思います。

2010年12月1日水曜日

検証「前期旧石器遺跡発掘捏造事件」

松藤和人『検証「前期旧石器遺跡発掘捏造事件」』(雄山閣、2010年10月)

奥付を見ると、岡村道雄『旧石器遺跡捏造事件』(山川出版社、2010年11月)よりも前に出ている。う~ん、気付かなかった。
著者の松藤和人氏は、西日本に基盤を置く旧石器研究者。
藤村新一氏と関係が希薄だったことから、
発掘捏造事件を比較的冷静に叙述している。
その分、インパクトは弱い。
ただ、「前、中期旧石器問題調査研究特別委員会」における
東北大閥と明大閥の対立などの内幕を書いていて興味深い。
また、最後に前期旧石器遺跡と目されている
岩手県金取遺跡・島根県砂原遺跡を紹介しているが、
疑義が呈されている点にはさして触れていない。

2010年11月30日火曜日

古語の謎

白石良夫『古語の謎―書き替えられる読みと意味―』(中公新書、2010年11月)

古語の歴史ではなく、「古語認識の歴史」を通して、
江戸時代の「古学」、さらには「古語とは何か」を語っている。
柿本人麻呂の歌(『万葉集』巻一・48番目)「東野炎立所見而反見為者月西渡」の読み方、『徒然草』にみえる「おこめく」は「おごめく(蠢く)」なのか、
といった具体的な問題を扱う一方で、
江戸時代の古学の歴史もバランス良くまとめていて読みやすい。
学問の発展によって、かえって古語が創り出されることもあるという指摘は、
他人事ではないような気がする。

2010年11月27日土曜日

藤原道長の摺本文選

池田昌広「藤原道長の摺本文選」(『鷹陵史学』36、2010年9月)

藤原道長の日記『御堂関白記』に登場する摺本注文選(五臣注本)の版本を推定し、当時の宋刊本受容の意義に言及している。

2010年11月25日木曜日

冼星海伝小考

平居高志「冼星海伝小考―パリ遊学時代を中心として―」(『集刊東洋学』104、2010年10月)

中国において、国家作曲者の聶耳と並ぶ有名作曲家である
冼星海の遊学時代の事績を再検討している。
この論文で初めて冼星海を知りましたが、
中国では神格化が進んでしまい、自身の回想などに頼ってしまっていて、
正面から事績が再検討されていないようです。

パリ遊学時代の所属学校や師弟関係などを詳細に検討し、
「音楽歴をより華やかで権威あるものとする」回想の特徴を浮き彫りにしている。
その背景に共産党への入党が関係していた可能性を指摘している。

『続「訓読」論』

中村春作・市來津由彦・田尻祐一郎・前田勉編『続「訓読」論―東アジア漢文世界の形成―』(勉誠出版、2010年11月)

2008年に出た『「訓読」論―東アジア漢文世界と日本語』の続編で、
これまたにんぷろの成果。
第Ⅰ部:東アジアにおける「知」の体内化と「訓読」
第Ⅱ部:近世の「知」の形成と「訓読」―経典・聖諭・土着―
第Ⅲ部:「訓読」と近代の「知」の回廊―文学・翻訳・教育―
合計16本の論文が並ぶ。前回と違って、日本だけでなく、
朝鮮半島や満洲語も取り上げられている。

特に印象深かったものは、
中村春作「琉球における「漢文」読み―思想史的読解の試み―」と
川島優子「白話小説はどう読まれたか―江戸時代の音読、和訳、訓読をめぐって―」。
中村論文は、琉球における多層的な言語状況と変遷についてまとめている。
川島論文は、江戸後期の金瓶梅読書会が残した史料を用いて、
当時、どのように白話小説を読んでいたかを明らかにしている。

2010年11月22日月曜日

秋の空き地で

近所の猫屋敷で今年も子猫誕生。
空き地で毎日元気にじゃれあってます。
ねこじゃらしがなかったので、草の茎で代用。
十分、遊んでくれます。

2010年11月21日日曜日

シンポジウム東洋史学100年からの展望

シンポジウム東洋史学100年からの展望
日時:20101211日(土)13:3017:00
場所:東京大学文学部一番大教室(法文二号館二階) 
主催:東京大学東洋史学研究室

報告者:佐藤次高・弘末雅士・小嶋茂稔・太田信宏
ディスカサント:羽田正・桃木至朗
特別演奏:古箏奏者 姜小青

報告タイトルが発表されていないのが残念。
どんなシンポジウムになるのか気になります。

水島司編『アジア遊学136 環境と歴史学』

水島司編『アジア遊学136 環境と歴史学 歴史研究の新地平』(勉誠出版、2010年9月)

近年、急速に研究が進められている環境史の特集号。
第一部「環境と歴史学へのアプローチ」、
第二部「環境と地域史」のもと、23の論文が並んでいる。
一口に環境史といっても、多様な切り口があることを実感。
問題意識もきわめて明確。なんだかちょっと気後れしてしまう。

2010年11月18日木曜日

洛陽学国際シンポジウム

洛陽学国際シンポジウム―東アジアにおける洛陽の位置―
(唐代史研究会2010年度秋期シンポジウム)
会場:明治大学駿河台校舎リバティタワー10階1103教室
日時:2010年11月27日(土)13:00~17:30、28日(日)9:30~17:00

11月27日(土)報告13:00~17:30
氣賀澤保規「開会挨拶、洛陽学シンポジウム趣旨説明」
塩沢裕仁「洛陽・河南の歴史地理と文物状況」
岡村秀典「中国のはじまり―夏殷周三代の洛陽」
石黒ひさ子「後漢刑徒墓磚について」  
   休憩(15時15分~15時30分)
落合悠紀「曹魏洛陽の復興と「正始石経」建立」
佐川英治「漢魏洛陽城研究の現状と課題」        
討論・質疑  コメンテーター:王維坤

11月28日(日)報告9:30~17:00
小笠原好彦「日本の古代都城と隋唐洛陽城」   
車崎正彦「三角縁神獣鏡と洛陽」
酒寄雅志「嵩山法王寺舎利蔵誌と円仁」 
  昼食(12時~13時)
毛陽光「洛陽近年出土唐代石刻の概要と新成果」
肥田路美「龍門石窟と奉先寺洞大仏」
氣賀澤保規「洛陽と唐宋変革と東アジア」   
  休憩(15時15分~15時30分)
コメント・討論:「洛陽学」の可能性について
 コメンテータ一:妹尾達彦・高明士