2010年3月3日水曜日

迷い猫

東京都現代美術館の中庭に迷い込んだ猫。
出口を探してうろうろしてるうちに、雨が降ってきた。
とてとてとてとて急ぎ足。

でも、穴は気になる。

は、そんな場合じゃない、急がなきゃ。

MOTアニュアル 装飾


サイバーアーツジャパンを見に行った際、
同時に開催されているMOTアニュアル「装飾」も見てきました。

MOTアニュアルは、東京都現代美術館が毎年開催している
若手アーティストを紹介する展覧会。
10回目の今年は「装飾」をテーマに10人のアーティストを紹介。
陶器・紙・木・石鹸などの色々な素材を使って、様々な装飾・造形がなされている。

正直、あまり期待してなかったのですが、
そういうときほど、インパクトある作品に出くわしたりするわけです。


山本基「迷宮」
展示スペース一杯に広がる塩で作った迷路(10m×17m)。
緻密で繊細。吹けば飛んでしまいそうな危うさがまたいい。
全体を見渡せば、異様な存在感が浮かんでくる。
作業工程を考えると気が遠くなる。
そういえば、子どもの頃、ノート一杯に迷路を書いて遊んだなぁ。

塩保朋子「cutting insights」
黒で統一された部屋につるされた6.5mの巨大な切り絵。
龍のような、暴風のような、エネルギーに満ち溢れた迫力あるデザイン。
そして、照明によって生み出される影のかっこいいこと。
これは本当にすごかった。



図録を買おうと思ったら、これまた作成中。
三月半ばには出るみたいなので、ぜひ購入したい。


東京都現代美術館企画展示室1階
期間:2010年2月6日(土)~4月11日(日)
観覧料:一般1000円、学生800円

2010年3月2日火曜日

白村江の真実

中村修也『白村江の真実 新羅王・金春秋の策略』(吉川弘文館、2010年3月)

「なぜ、日本は白村江の戦いに参加したのか」という疑問を出発点に、
新羅の金春秋(武烈王)の巧みな外交戦略によって、
唐・日本が新羅vs百済に関与することになり、白村江の戦いに至ったとする。
想像力豊かに7世紀半ばの朝鮮半島情勢を描いている。

2010年2月28日日曜日

サイバーアーツジャパン


現在、東京都現代美術館で開催されている
「サイバーアーツジャパン―アルスエレクトロニカの30年」に行ってきました。

「メディアアートの世界的祭典「アルスエレクトロニカ」(オーストリア・リンツ市)の30
周年を記念して、日本のアート&テクノロジー、メディア芸術領域の特集展を開催」だそうです。
なんとなく、メディア・テクノロジーをつかったアート展だと思ってたんですが、
そういう趣旨だったんですね。いま、パンフレット見て知りました。
でも、趣旨も分からずいったわりには、かなり楽しめました。

機械にありがちなトラブル(修理中)やら、
展示配置がよくなくて、せっかくの作品が楽しめなかったり、
説明不足で意図がいまいちわからなかったり、
それを解消するため、図録を買おうと思ったら、
開催してほぼ一カ月もたつのに、完成するのかすらわからない状態だったり、
ちょっとバタバタした感がぬぐえなかったけれど、
それでも、十分楽しめました。


写真はここだけOKでした。
ちょっと前にちょっと流行った八谷和彦作「PostPet」の最新版。
ぐったり感がいい感じ。

展示場内のCO2排出量が可視化された地図(「呼吸する美術館」)とか、
トイレ(便器前)の滞在時間が表示される電光掲示板とか、
それぞれの画面でゲーム内容が違う対戦ゲームとか、
紙の上の虫を食べるタイプライター(クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノー「Life Writer」)とか、
観覧者が積極的に関わる作品が多くて面白い。

世界各地の道端で不可解なダンスするぬいぐるみのクマを見せて、
道行く人々の反応を見る野口靖+安藤英由樹「Watch Me!」もよかった。
欧米人の無関心っぷりと、巣鴨のおばちゃん・ケニア人の笑顔の対比がすごい。

紙の目玉を柱に入れると、空中に飛び出して舞い上がり、
またたきしてるように見える作品では、
童心にかえって、紙きれを追ってしまいました。

ナンセンス楽器でおなじみの明和電機の作品は、
ガラスケースの中に陳列してあって、ちょっと物足りない感じ。

でも、なんといっても一番気に入ったのが、
クワクボリョウタ氏の作品「シ'|フ'|ン」。

人の動きに反応して動く機械の尻尾。
進化の過程でいらなくなった尻尾をあえて機械で作る。
こういうナンセンスさ、結構すきです。

たまたまタイミング良く、先着5名に間に合い、実際につけることができました。
ギャラリーが多くて、相当はずかしかったのですが、
尻尾の感触を味わうことができました。いやぁ、尻尾も悪くないですね。
はずした時の喪失感がけっこう大きかったです。
ぜひ、お試しください。


アートというより、アミューズメントパークに近いかも。
深いこと考えずに、ただただ純粋に楽しめました。


期間:2010年2月2日(火)~3月22日(月)
休館日:月曜
開館時間:10時~18時
会場:東京都現代美術館企画展示室
観覧料:一般1000円、学生800円

中央アジア学フォーラム(第38回)

中央アジア学フォーラム(第38回)
日時:2010年3月27日(土)13:30~18:00頃
場所:大阪大学・豊中キャンパス・文学部本館2階・大会議室

報告
石川澄恵「「阿史那懐道夫人安氏墓誌」より見る唐代安氏一族の系譜及び交河公主の降嫁について」
佐藤貴保「13世紀初頭カラホトにおける西夏軍―軍籍文書の分析から―」
石川禎仁「新刊紹介:孟憲実『敦煌民間結社研究』(北京大学出版社,2009年刊)」
旗手瞳「学界展望:チベットをはじめとする中央ユーラシア東部出土の金銀器に関する最近の研究紹介」

2010年2月25日木曜日

中国中・近世の社会と文化国際学術研討会

中国中・近世の社会と文化国際学術研討会
日時:2010年3月27日(土)9:00~18:00
会場:上智大学図書館9階921会議室

趣旨説明:大澤正昭
曽継華「東漢“鴻都門学”設置原由探析」
姚瀟鶇「六朝以後的蒋子文信仰」
厳耀中「論唐代儒学重心的転移」
陳大為「唐後期五代宋初敦煌僧寺的影響与地位」
虞雲国「唐宋押字考」
  昼食
今泉牧子「宋代県令抽差の地域的実態について―宋元の地方志をてがかりに―」
鍾翀「宋代浙東的郷里与村落―以東陽県北江地方為個案―」
戸田裕司「南宋地方行政と士人―婺州饑饉に見える官民関係―」
石川重雄「僧尼治罰と宋代法―仏律と俗法のはざまで―」
  休憩
戴建国「煕豊詔獄与北宋後期政治」
徳永洋介「警跡と景跡―近世中国の治安措置―」
佐々木愛「族譜を編纂する時―明代中期広東 羅虞巨と裁判―」

費用:資料代500円
後援:中国史学会・上智大学史学会・上智大学

歴史学研究会日本古代史部会2・3月例会

歴史学研究会日本古代史部会2・3月例会
日時:2010年2月27日(土) 14:00~
会場:明治大学駿河台キャンパス リバティタワー 1064教室

報告
毛利英介「東アジア史上の複数帝国併存期について-契丹(遼)と五代・北宋の関係を中心に-」(仮)
廣瀬憲雄「倭国・日本史と東アジア-6~13世紀における政治的連関再考-」

2010年2月22日月曜日

今日は猫の日

2月22日は、ニャーニャーニャーということで、猫の日だそうです。
しかも、今年は平成22年ということで、
世間では大いに盛り上がってる……、はずもないですね。



そうなの?という表情の猫たち。




ま、関係ないやって感じの猫たち。
猫にとっては、毎日が猫の日ですからね。

2010年2月21日日曜日

読書雑記

上原淳道『読書雑記』(上原勝子、2001年11月)


数ヶ月前、古本屋にて偶然購入。
『読書雑記』は、東大教授・関東学院大教授を歴任した
上原淳道(1921~1999)氏が、1963年から1999年まで
36年間発行し続けた個人誌。
本書は上原氏の没後、夫人がまとめて出版したもの。
とはいえ、主に関係者(『読書雑記』の読者?)に配布され、
殆ど流通しなかったらしい。
ちなみに、NACSISで調べたら、大学図書館では13か所しか所蔵していない。

『読書雑記』は個人誌といっても、出版物ではない。
『読書雑記』自体の説明は、著者自身の言葉を引用した方が、
わかりやすいと思うので、以下に『読書雑記』あとがきより抜粋します。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

「不定期刊」のつもりだが、最初の1年間は平均して月に3回、
最近はほぼ月に1回である。体裁は、わら半紙1枚、謄写版(ガリ版)ずり、
横書き。左半分に標題1行と本文20行、右半分に本文21行。
本文1行は30字だから、1号分の本文は1230字(400字づめ3枚強)となる。
毎号、数項目から成るが、どの項も原則としてピタリと行の終りで終るように
(つまり、30字の倍数になるように)字数を工夫している。

 発行部数は、誰にも言わない。個々の配布さきも、その人が死亡しな
いかぎり(つまり、生きている間は)、原則として明らかにしない。
配布の方法は原則として郵送。私が送ろうと思う人に一方的に送るだけである。
たまに「購読」を申し込む人があるが、売りものではないのだから、
購読はできない。

 原稿書き、原紙切りから、あて名書き、切手貼りまで、すべて独力で
やる個人通信を12年以上も続けているのは、大げさに言えば、私なりの
闘争であるが、闘争というよりは宗教的な「苦行」に似ている。
世の中にはいろいろな団体があり、出版物があるけれども、
どの団体もどの出版物も取上げようとしない問題で、
しかも私にとってはきわめて重要であるような問題も存在するのである。
私の『読書雑記』をミニコミと言う人もあるが、
私としては、ミニコミではなく、さりとてむろんマスコミではなく、
「ナグリコミ」と思っている。
(雑誌「文藝春秋」昭和51年7月号・巻頭随想「個人通信十四年」より抜粋)

――――――――――――――――――――――――――――――――――

最終的に『読書雑記』は441号まで発行され、
上原氏の死去によって幕を閉じた。

はやすぎたブログといった感じだろうか。
でも、郵送先は上原氏自身が決めているし、
見たいといっても、送ってもらえるものでもないらしいから、
やっぱりブログとはかなり違う。


一気に読みたかったけど、あえて数か月かけて、
441号(882頁)をゆっくり読んできた。
内容は、読書の感想、時事問題への意見・感想・批判、
追悼文、思い出、『読書雑記』読者からの手紙の紹介などなど。
学生運動、公害問題、文革、天安門事件、ソ連崩壊……
1960年代から90年代の時代の雰囲気が垣間見える。

特に「東洋史」学界に対して厳しい姿勢を貫いていて、
東大・京大の「東洋史」主流派は、のきなみ批判されている。
しかも、その姿勢が36年間ぶれていない。
現代史の生の資料をのぞき見した面白さに近い感じ。
「面白い」とかいったら、当事者やその弟子筋に
叱られそうな気もするけど、事実だから仕方がない。
ただし、ぼかしてる部分や当事者以外わからないことも多い。
注釈書があればいいのになぁ。だれか作ってくれないだろうか。

東大出身にも関わらず、東大「東洋史」の体制に批判的だった上原氏が、
『読書雑記』を出したきっかけは、
1962年に発生した東洋文庫のアジア・フォード財団資金受け入れ問題らしい。
A・F財団の資金受け入れは、文化面での日米安保体制の強化政策であり、
反中国・反共政策に、東洋文庫ひいては日本の東洋史学が組み込まれる危険が
ある、と認識されて、当時かなり大きな反対運動がおこったようだ。
結局、上原氏は「学界主流」からはずれていき、
今ではあまり触れられることもなくなっている。


それにしても上原氏の文章は熱い。
研究・教育をしっかりこなしつつ、平和運動・労働運動・国際問題など、
1960年代から1990年代までの社会運動に、
これだけ関心を寄せ続けた中国史の研究者は、おそらくほかにいないだろう。
しかも、単なる活動家には堕してないし。
これだけの熱気を持った研究者は、
もはや存在しないし、今後生まれることもないと思う。
僕自身も、こういう研究者になりたいわけではない。

ま、上原氏の姿勢が「正しかった」のかどうかは、よくわかりませんが。
批判された東大・京大の主流派やその弟子筋から見れば、
迷惑なドン・キホーテという認識だろうし、
上原氏を応援していた人なら、称賛するだろうし。
こういう研究者がいた、ってことが重要なのだと思います。

ところで、当時、『読書雑記』や上原氏の熱心なファンだった人々は、
いま、一体、どうしているのだろうか。
ちょっと気になります。

歴史学者と国土意識

吉開将人「歴史学者と国土意識」(『シリーズ20世紀中国史2 近代性の構造』東京大学出版会、2009年8月)

ブックオフで偶然見かけて購入。
「中国の歴史学者たちがどのように歴史地図の編纂を志し,
いかなる国土意識を形作ったのかという点について」論じたもの。
1930年代の歴史地図編纂の試みから、
1982年に『中国歴史地図集』が完成するに至る過程を、
国内的要因(学術史的背景)と国際環境(日本の侵略)から分析。
「おわりに」では、現在の「高句麗史」帰属問題にも言及している。

普段何気なく使っている『中国歴史地図集』に
半世紀に及ぶ政治的背景が存在したとは。
歴史地図と政治が密接に関係していることを改めて実感しました。