2010年1月24日日曜日

睡蓮池のほとりにて


ちょっと前になりますが、
アサヒビール大山崎山荘美術館で開催中の
「睡蓮池のほとりにて―モネと須田悦弘、伊藤存」に
行ってきました。

睡蓮の絵で有名なモネと、
大山崎山荘美術館にある睡蓮の池をモチーフにした、
須田悦弘と伊藤存の作品を展示している。
モネはいわずとしれた印象派の巨匠。
伊藤存は動植物や人などをモチーフにした刺繍作品を作る作家。
でも、お目当てはこの二人ではなく、須田悦弘。


須田悦弘は、木彫りのリアルな実物大の草花を、
様々な空間にそっと配置する作品を作り続けている。

はじめて須田の作品を見たのは、
2005年の「秘すれば花:東アジアの現代美術」(森美術館)。
植物が壁からそっと出ていたのだけど、あまりにも何気なく存在していたため、
気付かず通り過ぎる人もけっこういた。

その後、しばらく現代アートとは遠ざかっていたのだけど、
一昨年くらいから、また見に行くようになり、次に出会ったのは昨年。
「ネオテニー・ジャパン―高橋コレクション」(上野の森美術館)では、
他の作品(小澤剛の醤油画屏風)の陰に、
ひっそりと指先ほどの「雑草」が置いてあった。
原美術館の常設展示「此レハ飲水二非ズ」では、
汚い小部屋のむき出しになった排水管の先に椿が咲いていた。

リアルな木彫りの植物を見過ごしそうなほどさりげなく配置したり、
意外な場所と組み合わせたり。
それがなんとも言えず、かっこよく感じてしまうわけです。

で、今回の「睡蓮池のほとりにて」では、
白い壁・カーペットで仕切られた小部屋の中央に敷かれた
黒い円形のボード上に、 木彫りの睡蓮がそっと置いてありました。
睡蓮の葉には虫食いのあともあります。
天井には円形ボードと同じ大きさの天窓があり、
睡蓮の上に淡い光が差し込んでいます。
小部屋を出ると、周囲の壁にはモネの睡蓮がたくさん掛けられています。

やっぱり、かっこいい。

新館の廊下にも、虫食いの「葉」が展示してありました。
今回は意外な組み合わせや、さりげなさはなかったものの、
モネの睡蓮と呼応するかのような配置がよかったです。
また、どこかで須田の作品を見てみたいです。

ちなみにこの「睡蓮池のほとりにて」は、
本来1月31日までの予定だったのですが、
好評につき、2月28日まで延期されたそうです。

2010年1月23日土曜日

三教不齊論

各種新聞で報道されていますが、
空海が唐から持参した文献で、その後亡佚したと思われていた
「三教不齊論」の江戸時代末期の写本が、
東京都立図書館所蔵諸橋轍次文庫で確認されたそうです。
「三教不齊論」は、儒・仏・道のうち、仏教が最も優れていると説いており、
渡唐前に空海が撰した『三教指帰』の裏付けとして持ち帰った可能性が
あるそうです。
発見者は藤井淳氏(高野山大学密教文化研究所委託研究員)。

毎日新聞の記事には、25日に高野山大学で開かれる研究会で発表する、
とあるのみで、具体的な研究会名は書かれていませんでした。
多分、この研究会ではないかと思います。

密教文化研究所第6回研究会
日時:2010年1月25日(月)15:00~17:00
場所:高野山大学本館2階第3会議室
藤井淳「『空海の思想的展開の研究』拾遺」


また、毎日新聞の記事には「当時の唐の官僚が書いた比較思想論」と
あるのみで、撰者の名前をあげていませんが、どうやら劉晏のようです。
どんなことが書いてあるのか、ちょっと気になります。
なにか佚書を引いていたら面白いのですが。


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2月11日2時50分追加
枕流亭ブログに、『三教不齊論』の著者に関する記事が掲載されていました。
撰者が気になったので、高野山大学密教文化研究所に問い合わせたら、
「前盧州参軍姚辨撰」と記されていた、という回答を得たそうです。
敦煌文書に劉晏述『三教不齊論』とあったので、
「劉晏のようです」と書いてしまいました。お恥ずかしい限りです。

2010年1月21日木曜日

北朝・隋唐史料に見えるソグド姓の成立について

斉藤達也「北朝・隋唐史料に見えるソグド姓の成立について」(『史学雑誌』118-12、2009年12月)

ソグド姓とその対応国名の関係について考察。
国名(例:康国・安国など)からソグド姓(例:康・安など)が
派生したとする従来説に検討を加え、
むしろ、ソグド姓から対応国名が派生したとする。
また、当初、ソグド人には康姓しか存在しなかったが、
南北朝期における同姓不婚の厳格化にともない、
ソグド姓が多様化したとする。
斉藤達也「安息国・安国とソグド人」(『国際仏教学大学院大学研究紀要』11、2007年3月)の拡大発展版。

シンポジウム「近代学問の起源と編成」

シンポジウム「近代学問の起源と編成」
日時:2010年3月13日(土)・14日(日)
会場:早稲田大学早稲田キャンパス14号館1階 102教室
主催:早稲田大学高等研究所

[プログラム]
3/13(土)文学研究の近代―学問としての成立と展開― 13:00~
藤巻和宏「文学研究の範囲と対象―寺院資料から近代学問を捉え返す―」
田中貴子「〈中世〉の発見―近代知識人を中心に―」
笹沼俊暁「外地の国文学と「風土」―犬養孝の万葉風土論と台湾―」
平藤喜久子「神話学の「発生」をめぐって」
倉方健作「フランス近代詩と学問―「ボードレール研究」の確立を例に―」
討議

3/14(日)近代諸学の成立と編成―前近代の継承と断絶―
10:00~
北條勝貴「歴史と歴史学の存在意義―グラウンド・ゼロから考える―」
井田太郎「実証という方法―近世文学研究は江戸時代になにを夢見たか―」
玉蟲敏子「江戸後期の古画趣味と日本の美術史学」
藤田大誠「近代国学と人文諸学の形成」
13:30~
飯田健「国家からの視点、市民からの視点―近代日本に輸入された政治学の二つの系統―」
齋藤隆志「近代経済学とマルクス経済学―その受容と対立の歴史―」
森田邦久「西洋哲学と近代科学の成立」
青谷秀紀「H・ピレンヌと近代ベルギー史学の形成」
討議

学習院大学コレクションの世界

学習院大学開学六十周年記念特別展覧会
「知識は東アジアの海を渡った―学習院大学コレクションの世界」

日時:2010年1月26日~2月1日
会場①丸善・丸の内本店4階ギャラリー 9:00~21:00
  ②学習院大学史料館展示室 10:00~17:00
入場無料

[主な展示品]
会場①『大唐六典』(近衛家寄贈)・『史記』(明治天皇旧蔵)・『水経注』(高松藩旧蔵)・『白氏文集』(渋江抽齋・伊沢柏軒等旧蔵)・「北魏造像銘石片」など
会場②『唐文粋』(冷泉家旧蔵)・『史記』(慶長古活字版)・『正始文程』(朝鮮本)など


[記念講演会]
「知識は東アジアの海を渡った―学習院大学の東アジア研究を語る」
日時:2010年1月31日(日)14:00~16:00
会場:日経セミナールーム(丸善・丸の内本店3階)
講演者:小倉芳彦・濱田耕策

[ギャラリートーク] *学習院大学の教職員
会場①1月27日~1月30日の18:30~19:30、1月31日の10:30~11:30.
[展示品解説] *村松弘一
会場①1月27日~1月29日・2月1日の12:15~12:45
会場②1月27日~1月29日・2月1日の14:30~15:00

漢籍セミナー

第6回 TOKYO 漢籍 SEMINAR
「罪と罰―伝統中国における法と裁判」
日時:3月13日(土)10:30~16:00
会場:学術総合センター 2階中会議場
参加定員:200名(申し込み順)
聴講料:無料

プログラム
10:30~10:45 岩井茂樹 開会挨拶
10:45~11:00 井波陵一 テーマ趣意説明
11:00~12:10 宮宅潔「神の裁きから人の裁きへ―秦漢時代の裁判制度」
13:10~14:20 辻正博「礼教の刑罰―流刑」
14:40~15:50 岩井茂樹「お上を訴える―訴訟文書と『絲絹全書』」
15:50~16:00 閉会挨拶
司会 武田時昌
 
参加希望者は、「漢籍セミナー申込み」と明記し、
氏名・所属・連絡先(住所・電話番号・E-mailアドレス)等を記入の上、
下記宛先へはがき(E-mail又はFAX可)にて申し込み。
申込及び問合せ先:
 京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センター事務掛
  〒606-8265 京都市左京区北白川東小倉町47番地

2010年1月18日月曜日

ツチノコの民俗学

伊藤龍平『ツチノコの民俗学―妖怪から未確認動物へ―』(青弓社、2008年8月)

以前、買おう買おうと思っていたのに、
すっかり忘れていた本をしょぼい本屋で偶然発見。
ついつい購入してしまいました。

UMA(未確認動物)として有名なツチノコ。
江戸時代に「妖怪」と認識されていたツチノコは、
1970年代に「幻のヘビ」として取り上げられ、
未確認動物として普及していった。

前半(第一章・第二章)は民俗学の視点から、
江戸期におけるツチノコ類とその関連領域について詳説。
本草書中の怪蛇や中国の蠱毒にも触れている。
後半(第三章・第四章)は1970年代以降における
ツチノコ像の固定化、マンガ等におけるツチノコ受容、
観光資源化など、妖怪から未確認動物への変化について論じている。
UMA(未確認動物)の民俗学っていうのが、
なんだか新鮮な気がして面白い。

著者は台湾の南台科技大学の教員。
ドラえもんに出てくるツチノコが、
中華圏でどう翻訳されているか比較し、
海外におけるツチノコ受容についてもちょっと触れている。
このテーマも深化させたら面白そう。

2010年1月17日日曜日

古代日本における『史記』の受容をめぐって

池田昌広「古代日本における『史記』の受容をめぐって」(『古代文化』61-3、2009年12月)

古代日本が受容した『史記』について検討。
『史記集解』に本文と注の双方が備わっていたことを確認し、
日本で作られた『二中歴』をもとに、その構成を復元。
また、日本にはじめて『史記』の本文が伝えられたのは、
吉備真備が請来した『史記集解』であるとする。
漢籍研究における和文献の重要性を再確認した。

内陸アジア出土古文献研究会 特別講演会

東洋文庫・内陸アジア出土古文献研究会 特別講演会
日時:1月22日(金)15時~17時
会場:明治大学博物館教室
張国剛「従西域出土戸籍資料看唐代的家庭結構」

2010年1月10日日曜日

威厳

今年の猫初めをどの写真にするか迷ったのですが、
年末に撮ったこの一枚に決めました。


王者の風格が漂ってます。