先日、神奈川県立金沢文庫で開催中の
「鎌倉興隆―金沢文庫とその時代―」に行ってきました。
この展覧会は、世界遺産登録推進 三館連携特別展「武家の古都・鎌倉」の一つ。他の二つは鎌倉八幡宮内の鎌倉国宝館(古都鎌倉と武家文化)と神奈川県立歴史博物館(再発見!鎌倉の中世)。一応、全部いったけれど、一番熱かった金沢文庫を紹介します。
今回の展覧会は三つのテーマで構成されている。
まずは、お目当ての「金沢文庫の世界」。
鈔本では、『白氏文集』、『文選集注』、『卜筮書』、『集七十二家相書』、『施氏孫子講義』などなど。『孫子講義』は北条顕時が書写したそうだ。ヲコト点や訓点がびっしり書き込まれている。やはり武家らしく、気合入れて兵法書を読んだのだろうなぁ。
宋版では、『読史管見』、『唐柳先生文集』、宋版残欠集(文苑英華や春秋後伝など)などなど。近年、館山で発見された『孫真人玉函方』(南宋版の元覆刻本らしい)も公開されていて驚いた。『玉函方』のほか『膏盲腧穴灸法』・『産育保慶集』も合綴されているらしい。佚書とされていた医書が同時に三冊見つかったことになる。きっと、まだまだ日本には佚書があるに違いないと思わせる。
もう一つのテーマは「北条氏権力の確立と金沢北条氏」。
金沢北条氏の肖像画や書状のほか、北条氏の政変を記した日記などが展示されている。ここでは、蛇体に囲まれた日本図(鎌倉時代)と、あまりにも図形化が過ぎて、もはや地図とは呼べない日本図(日蓮宗・戦国写本)に目を奪われた。唐土・新羅などにまじって羅刹国・龍及国(身人頭鳥)という謎の国も。右隅には蒙古国の記事があり、日本・高麗・唐土(南宋)でそれぞれ呼び名が異なるという指摘が見える。
そのほか、称名寺の僧侶と流罪唐人(元寇の捕虜)の漢詩のやりとりも興味深かった。漢詩というより、漢詩風筆談といった感じで、僧侶(多分、渡来僧)にあわせてほしいと訴えている。多分、兵士か下級官で、苦手な漢詩を一生懸命作ったんだろうなぁ、と想像してしまった。
予想以上に長くなったので、三つ目のテーマ「鎌倉仏教開花」は省略。
約300頁の三館合同の図録が1200円と超お得。
会期は12月2日(日)まで。開館時間は9時~16時半。
観覧料は600円。
2012年11月25日日曜日
2012年11月22日木曜日
江戸の読書会
前田勉『江戸の読書会―会読の思想史』(平凡社、2012年10月)
江戸時代に普及した議論する読書会=会読。
伊藤仁斎や荻生徂徠のもとで、儒学を学ぶためにはじまり、その相互コミュニケーション性・対等性・結社性の三原理ゆえに、身分社会との軋轢を経験しつつ、各地の私塾(蘭学・国学)・藩校に普及し、幕末・明治の精神・思想を準備したのだとする。
江戸時代の学問は講釈中心で、会読形式は蘭学(『解体新書』の翻訳)に始まったとばかり思っていたので、目からウロコが落ちることしきり。遊戯性を帯びていて、立身出世と直結しないからこそ、普及したという指摘も面白い。会読のエッセンスをなんとか授業に取り入れられないかなぁ。
江戸時代に普及した議論する読書会=会読。
伊藤仁斎や荻生徂徠のもとで、儒学を学ぶためにはじまり、その相互コミュニケーション性・対等性・結社性の三原理ゆえに、身分社会との軋轢を経験しつつ、各地の私塾(蘭学・国学)・藩校に普及し、幕末・明治の精神・思想を準備したのだとする。
江戸時代の学問は講釈中心で、会読形式は蘭学(『解体新書』の翻訳)に始まったとばかり思っていたので、目からウロコが落ちることしきり。遊戯性を帯びていて、立身出世と直結しないからこそ、普及したという指摘も面白い。会読のエッセンスをなんとか授業に取り入れられないかなぁ。
2012年11月19日月曜日
日本中国考古学会2012年度総会・大会
日本中国考古学会2012年度総会・大会
日時:2012年12月15日(土)、16日(日)
会場:九州国立博物館 1階ミュージアムホール
参加費:大会資料費 1000円
スケジュール
12月15日(土)
一般発表
13:30~14:00 岸本泰緒子「出現期銅鏡の再検討」
14:00~14:30 古澤義久「新岩里出土青銅刀の年代について」
14:30~15:00 劉菲「敦煌莫高窟における中心塔から覆斗形天井への変遷について」
X線CTスキャナ紹介
15:30~16:00 今津節生「九博のX線CTスキャナによる文化財の研究」
16:00~17:00 X線CTスキャナ見学・ポスターセッション
総会17:00~18:00
12月16日(日)
テーマ発表 「中国古代青銅器研究の現在」
10:00~11:00 廣川守「X線CTスキャナによる商周青銅器製作技法に関する研究」
11:00~12:00飯塚義之・内田純子「中央研究院所蔵殷墟青銅器の冶金学的研究」
昼休み
13:00~13:40 鈴木舞「盤龍城青銅器の製作技術」
13:40~14:20 丹羽崇史「中国における湾曲羽口の基礎的検討」
14:20~15:00 角道 亮介「西周青銅器の使用方法に関する一考察」
15:00~15:40 岡村秀典・石谷慎「同型鏡・同印鏡論の提言―戦国鏡の制作と流通」
15:40~16:00 休憩、ポスターセッション
16:00~17:00 パネルディスカッション:中国古代青銅器をめぐる諸問題
ポスターセッション
掲示:12月15日(土)12:30~12月16日(日)17:00
質疑応答:12月15日(土)16:00~17:00
12月16日(日)15:40~16:00
山本尭「長江中流域における殷代社会動態に関する考察」
大日方一郎「西周時代における副葬土器」
小林青樹・石川岳彦「中国北方青銅器文化における年代の再構築」
因幡聡美「雲岡石窟第三期諸窟に見られる複合龕に関する研究」
日時:2012年12月15日(土)、16日(日)
会場:九州国立博物館 1階ミュージアムホール
参加費:大会資料費 1000円
スケジュール
12月15日(土)
一般発表
13:30~14:00 岸本泰緒子「出現期銅鏡の再検討」
14:00~14:30 古澤義久「新岩里出土青銅刀の年代について」
14:30~15:00 劉菲「敦煌莫高窟における中心塔から覆斗形天井への変遷について」
X線CTスキャナ紹介
15:30~16:00 今津節生「九博のX線CTスキャナによる文化財の研究」
16:00~17:00 X線CTスキャナ見学・ポスターセッション
総会17:00~18:00
12月16日(日)
テーマ発表 「中国古代青銅器研究の現在」
10:00~11:00 廣川守「X線CTスキャナによる商周青銅器製作技法に関する研究」
11:00~12:00飯塚義之・内田純子「中央研究院所蔵殷墟青銅器の冶金学的研究」
昼休み
13:00~13:40 鈴木舞「盤龍城青銅器の製作技術」
13:40~14:20 丹羽崇史「中国における湾曲羽口の基礎的検討」
14:20~15:00 角道 亮介「西周青銅器の使用方法に関する一考察」
15:00~15:40 岡村秀典・石谷慎「同型鏡・同印鏡論の提言―戦国鏡の制作と流通」
15:40~16:00 休憩、ポスターセッション
16:00~17:00 パネルディスカッション:中国古代青銅器をめぐる諸問題
ポスターセッション
掲示:12月15日(土)12:30~12月16日(日)17:00
質疑応答:12月15日(土)16:00~17:00
12月16日(日)15:40~16:00
山本尭「長江中流域における殷代社会動態に関する考察」
大日方一郎「西周時代における副葬土器」
小林青樹・石川岳彦「中国北方青銅器文化における年代の再構築」
因幡聡美「雲岡石窟第三期諸窟に見られる複合龕に関する研究」
2012年11月13日火曜日
平成24年度九州史学会大会
九州史学会大会
日程:12月8日(土)9日(日)
場所:九州大学 箱崎文系キャンパス
参加費1500円
12月 8日(土)シンポジウム「戦跡からみたモンゴル襲来 ―東アジアから鷹島へ―」
法文系講義棟101番教室 (13:30より)
舩田善之「モンゴルの襄樊包囲戦とその軍事拠点」
尹龍爀「韓国における最近の三別抄遺跡調査と研究」
森平雅彦「甲戌 ・辛巳の役後における高麗対日警戒体制とその拠点」
佐伯弘次「弘安の役と北部九州」
池田栄史「鷹島海底遺跡の発掘調査」
12月9日(日)<東洋史部会> 法文系講義棟204番教室 9:00開始
黒木修平「古代東アジアにおける麈尾の伝播について」
劉可維「唐代の賵賻制度について―唐喪葬令を中心として ―」
藤野月子「唐代和蕃公主考―降嫁に付随し て移動したヒトとモノ ―」
史習隽「明末士大夫の天主教受容について―徐光啓の交友ネットワークを中心に―」
郭陽「日本に伝わった鄭經関連の情報 ―『華夷変態』を中心に―」
川本芳昭「現代中国の民族問題と中国史研究について― 「少数民族」の理解をめぐって―」
三田辰彦「東晋南朝の儀注改定プロセス」
塩卓悟「唐宋代の肉食における性差」
内田直文「清代康煕朝の奏摺政治について」
小林聡「漢唐間の礼制・服制史における北朝の位置」
日程:12月8日(土)9日(日)
場所:九州大学 箱崎文系キャンパス
参加費1500円
12月 8日(土)シンポジウム「戦跡からみたモンゴル襲来 ―東アジアから鷹島へ―」
法文系講義棟101番教室 (13:30より)
舩田善之「モンゴルの襄樊包囲戦とその軍事拠点」
尹龍爀「韓国における最近の三別抄遺跡調査と研究」
森平雅彦「甲戌 ・辛巳の役後における高麗対日警戒体制とその拠点」
佐伯弘次「弘安の役と北部九州」
池田栄史「鷹島海底遺跡の発掘調査」
12月9日(日)<東洋史部会> 法文系講義棟204番教室 9:00開始
黒木修平「古代東アジアにおける麈尾の伝播について」
劉可維「唐代の賵賻制度について―唐喪葬令を中心として ―」
藤野月子「唐代和蕃公主考―降嫁に付随し て移動したヒトとモノ ―」
史習隽「明末士大夫の天主教受容について―徐光啓の交友ネットワークを中心に―」
郭陽「日本に伝わった鄭經関連の情報 ―『華夷変態』を中心に―」
川本芳昭「現代中国の民族問題と中国史研究について― 「少数民族」の理解をめぐって―」
三田辰彦「東晋南朝の儀注改定プロセス」
塩卓悟「唐宋代の肉食における性差」
内田直文「清代康煕朝の奏摺政治について」
小林聡「漢唐間の礼制・服制史における北朝の位置」
2012年11月12日月曜日
シンポジウム「大青山一帯の北魏城趾遺跡」
シンポジウム「大青山一帯の北魏城趾遺跡」
日時:2012年12月8日(土)10時~16時
場所:東京大学本郷キャンパス 法文1号館315室
研究報告
10:00~10:40 佐川英治「都市としての北魏六鎮」
10:40~11:20 松下憲一「大青山南部北魏城址遺跡」
11:20~12:00 塩沢裕仁「大青山北麓の六鎮関連遺跡」
特別講演
13:00~14:00 黄暁芬「秦漢帝国北方辺境の歴史空間(仮)」
14:00~15:00 蘇哲「墳墓の図像資料から見た北魏平城時代の暮らし」
ディスカッション 15:10~16:00
大青山からみた北魏史
日時:2012年12月8日(土)10時~16時
場所:東京大学本郷キャンパス 法文1号館315室
研究報告
10:00~10:40 佐川英治「都市としての北魏六鎮」
10:40~11:20 松下憲一「大青山南部北魏城址遺跡」
11:20~12:00 塩沢裕仁「大青山北麓の六鎮関連遺跡」
特別講演
13:00~14:00 黄暁芬「秦漢帝国北方辺境の歴史空間(仮)」
14:00~15:00 蘇哲「墳墓の図像資料から見た北魏平城時代の暮らし」
ディスカッション 15:10~16:00
大青山からみた北魏史
2012年10月31日水曜日
李白
金文京『李白―漂泊の詩人 その夢と現実』(岩波書店、2012年10月)
岩波書店の「書物誕生 あたらしい古典入門」シリーズの最新刊。このシリーズは、「書物誕生」のはずなのに、『論語』・『史記と漢書』・『老子』などとともに、陶淵明・杜甫・李白の三人の詩人がなぜか取り上げられている。
『杜甫』も『陶淵明』も、あまり他の概説書と変わり映えしない印象だったけど、『李白』は他書にない李白像が示されている。
第Ⅰ部では、李白の出自(胡商)、李白伝説、李白詩文集の形成を紹介。第Ⅱ部では、「山人」の視点から李白の漂泊の人生をとらえなおしている。功名への野望を抱き、地方官に無心し、道教にそまる李白。第Ⅱ部第五章では、「政治的感覚に欠如した頓珍漢な人間であった」ことを指摘している。第Ⅱ部第Ⅱ章での、胡商出身であるがゆえに、士人の儒教的行動様式にうとかったという指摘にも眼からウロコが落ちた。第Ⅰ部・第Ⅱ部ともに興味深く、一気に読んでしまった。
岩波書店の「書物誕生 あたらしい古典入門」シリーズの最新刊。このシリーズは、「書物誕生」のはずなのに、『論語』・『史記と漢書』・『老子』などとともに、陶淵明・杜甫・李白の三人の詩人がなぜか取り上げられている。
『杜甫』も『陶淵明』も、あまり他の概説書と変わり映えしない印象だったけど、『李白』は他書にない李白像が示されている。
第Ⅰ部では、李白の出自(胡商)、李白伝説、李白詩文集の形成を紹介。第Ⅱ部では、「山人」の視点から李白の漂泊の人生をとらえなおしている。功名への野望を抱き、地方官に無心し、道教にそまる李白。第Ⅱ部第五章では、「政治的感覚に欠如した頓珍漢な人間であった」ことを指摘している。第Ⅱ部第Ⅱ章での、胡商出身であるがゆえに、士人の儒教的行動様式にうとかったという指摘にも眼からウロコが落ちた。第Ⅰ部・第Ⅱ部ともに興味深く、一気に読んでしまった。
歴史学研究会創立80周年記念シンポジウム
歴史学研究会創立80周年記念シンポジウム
テーマ 歴史学のアクチュアリティ
日時:2012年12月15日(土)13時~18時
会場:明治大学リバティタワー1011教室
報告
長谷川貴彦「現代歴史学の挑戦―イギリスの経験から―」
岸本美緒「中国史研究におけるアクチュアリティとリアリティ」
安田常雄「方法としての同時代史」
村井章介「〈境界〉を考える」
栗田禎子「現代史とは何か」
コメント 浅田進史・藤野裕子
参加費500円
テーマ 歴史学のアクチュアリティ
日時:2012年12月15日(土)13時~18時
会場:明治大学リバティタワー1011教室
報告
長谷川貴彦「現代歴史学の挑戦―イギリスの経験から―」
岸本美緒「中国史研究におけるアクチュアリティとリアリティ」
安田常雄「方法としての同時代史」
村井章介「〈境界〉を考える」
栗田禎子「現代史とは何か」
コメント 浅田進史・藤野裕子
参加費500円
2012年10月23日火曜日
第23回書学書道史学会大会
第23回書学書道史学会大会
場所:別府大学(別府キャンパス)
日程:2012年11月17日(土)・18日(日)
17日 研究発表 32号館内500番教室
14:30~15:00 陳柏伩「筆力の構築〈骨〉〈筋〉〈肉〉の概念より―漢魏六朝唐の書論を中心に―」
15:00~15:30 福光由布「蘇軾詩における「草書未暇縁怱怱」に関する一考」
講演
15:40~16:50 胡平生「簡牘の偽物問題について」
18日 研究発表 メディア教育・研究センター内4Fメディアホール
09:00~09:30 川合尚子「張廷済の金石学―翁方綱・阮元との交友と影響―」
09:30~10:00 緑川明憲「大師流能書・藤木敦直伝記考証」
10:00~10:30 丸山果織「戦後日本の「前衛書」の展開―森田子龍の作品分析をとおして―」
10:40~11:10 尾川明穂「歴代書跡に対する董其昌の鑑定・評価基準―褚摹系「蘭亭序」に近似する一群の書跡の存在から―」
11:10~11:40 矢野千載「里耶秦代簡牘に見る秦代書法―多様な秦隷、簡牘上の小篆、楚簡との関わりを中心に―」
13:50~14:20 高木義隆「金章宗の所蔵印と痩金書」
14:20~14:50 横田恭三「前漢墓出土「告地書」考」
場所:別府大学(別府キャンパス)
日程:2012年11月17日(土)・18日(日)
17日 研究発表 32号館内500番教室
14:30~15:00 陳柏伩「筆力の構築〈骨〉〈筋〉〈肉〉の概念より―漢魏六朝唐の書論を中心に―」
15:00~15:30 福光由布「蘇軾詩における「草書未暇縁怱怱」に関する一考」
講演
15:40~16:50 胡平生「簡牘の偽物問題について」
18日 研究発表 メディア教育・研究センター内4Fメディアホール
09:00~09:30 川合尚子「張廷済の金石学―翁方綱・阮元との交友と影響―」
09:30~10:00 緑川明憲「大師流能書・藤木敦直伝記考証」
10:00~10:30 丸山果織「戦後日本の「前衛書」の展開―森田子龍の作品分析をとおして―」
10:40~11:10 尾川明穂「歴代書跡に対する董其昌の鑑定・評価基準―褚摹系「蘭亭序」に近似する一群の書跡の存在から―」
11:10~11:40 矢野千載「里耶秦代簡牘に見る秦代書法―多様な秦隷、簡牘上の小篆、楚簡との関わりを中心に―」
13:50~14:20 高木義隆「金章宗の所蔵印と痩金書」
14:20~14:50 横田恭三「前漢墓出土「告地書」考」
2012年10月12日金曜日
虚構ゆえの真実
ジョン・R・マクレー著、小川隆解説『虚構ゆえの真実―新中国禅宗史』(大蔵出版、2012年5月)
出版直後から、『虚構ゆえの真実』というタイトルに魅かれて、気になっていたのだけれど、禅宗史という慣れないジャンルであることから、敬遠してしまっていた。しかし、最近、わけあって、小川隆氏の唐代の禅宗に関する本を三冊読んだので、チャレンジしてみることに。冒頭で小川隆氏が、従来の禅宗理解とマクレー氏の著作の新しさ・課題を解説していて、入りやすい。
目次は以下の通り。
小川隆解説「破家散宅の書」
第一章「法系を見る―禅仏教についての新しい視座」
第二章「発端―菩提達摩と東山法門を区別しつつ接続する」
第三章「首都禅―朝廷の外護と禅のスタイル」
第四章「機縁問答の謎―誰が、何を、いつ、どこで?」
第五章「禅と資金調達の法―宋代における宗教的活力と制度的独占」
第六章「クライマックス・パラダイム―宋代禅における文化的両義性と自己修養の諸類型」
一見してわかるとおり、通常の仏教史とは全く違ったスタイルをとっている。従来の伝灯・法系を軸とした禅宗史を宋代に構築された「虚構」とみなし、その禅宗史像を白紙に戻して、原始禅(達摩・恵可)、初期禅(600~900頃)、中期禅(750~1000頃)の禅について考え直している。さらに、「虚構」と言って切り捨てるのではなく、「虚構」であるがゆえに重要であるとして、宋代の禅についても検討している。
ジャンル・時代は違えど、今、考えている問題と、方法論・問題意識の点で大いに参考になった。本書中で多くの課題・研究テーマを開拓しているが、マクレー氏は2011年10月に64歳で亡くなってしまったため、今後の発展を見ることはできない。非常に残念。
出版直後から、『虚構ゆえの真実』というタイトルに魅かれて、気になっていたのだけれど、禅宗史という慣れないジャンルであることから、敬遠してしまっていた。しかし、最近、わけあって、小川隆氏の唐代の禅宗に関する本を三冊読んだので、チャレンジしてみることに。冒頭で小川隆氏が、従来の禅宗理解とマクレー氏の著作の新しさ・課題を解説していて、入りやすい。
目次は以下の通り。
小川隆解説「破家散宅の書」
第一章「法系を見る―禅仏教についての新しい視座」
第二章「発端―菩提達摩と東山法門を区別しつつ接続する」
第三章「首都禅―朝廷の外護と禅のスタイル」
第四章「機縁問答の謎―誰が、何を、いつ、どこで?」
第五章「禅と資金調達の法―宋代における宗教的活力と制度的独占」
第六章「クライマックス・パラダイム―宋代禅における文化的両義性と自己修養の諸類型」
一見してわかるとおり、通常の仏教史とは全く違ったスタイルをとっている。従来の伝灯・法系を軸とした禅宗史を宋代に構築された「虚構」とみなし、その禅宗史像を白紙に戻して、原始禅(達摩・恵可)、初期禅(600~900頃)、中期禅(750~1000頃)の禅について考え直している。さらに、「虚構」と言って切り捨てるのではなく、「虚構」であるがゆえに重要であるとして、宋代の禅についても検討している。
ジャンル・時代は違えど、今、考えている問題と、方法論・問題意識の点で大いに参考になった。本書中で多くの課題・研究テーマを開拓しているが、マクレー氏は2011年10月に64歳で亡くなってしまったため、今後の発展を見ることはできない。非常に残念。
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