2009年12月28日月曜日

中世の書物と学問

小川剛生『中世の書物と学問』(山川出版社、2009年12月)

山川出版社の日本史リブレット78。
書写・校勘、読書、蒐書、引用・利用、註釈書などのテーマから、
中世の日本の人々が、どのように書物を利用していたか、
当時の学問とはどのようなものかを平易にまとめている。

日本中世における中国の書物・学問の受容については、
「「東アジア世界」という見取り図を持ち出して」終わりとするのではなく、
「受容した側が何をどのように消化した結果、
いかなる果実が稔ったかを具体的に追跡するべきである」と述べている。
以前読んだ水口幹記『日本古代漢籍受容の史的研究』(2005年9月)の序章と
ある意味共通の問題意識を感じた。

2009年12月27日日曜日

寧波プロジェクト科挙班研究総括集会

研究総括集会「寧波士人社会の形成と展開―宋元明の通時的考察」
主催:科挙班
日時:2010年1月24日(火)午後1時~午後5時
会場:明治大学駿河台校舎研究棟4F第6会議室
報告者:科挙班構成員(近藤一成、森田憲司、櫻井智美、鶴成久章、飯山知保)
各分担者が現段階での結論を20分間程度報告。
課題と今後の展望について、討論を行う予定。 

冬の夜道


冬の夜道にて。
中途半端にあがった足は愛嬌あるけど、
ビームが出そうな左目がちょっと怖い。

2009年12月26日土曜日

陳元靚の『博聞録』について

宮紀子「陳元靚の『博聞録』について 」(『汲古』56、2009年12月)

これまでの宮氏の陳元靚撰『博聞録』(『事林広記』のもとになった類書)に
関する研究によると、 現在、『博聞録』自体の伝来は知られていないが、
佚文や版式から、『事林広記』のどの部分が『博聞録』であるか判明しつつある。
今回の論文では、日本で作られた仏典の注釈や『三体詩』の抄物などを中心に
その後発見した『博聞録』関係資料や佚文を紹介。
『博聞録』自体の研究もさることながら、
13~15世紀の日本における漢籍受容の様子も窺えて、とても面白かった。

また、本題とはずれるが、南北朝~室町時代の「管領」・「都元帥」・「総管府」等の
肩書きが、 モンゴル時代の制度を踏まえているという注12の指摘も興味深かった。

新発見隋代陰寿の墓誌

韓昇「新発見隋代陰寿の墓誌」(『汲古』56、2009年12月)

近年発見された北周・隋初に活躍した陰寿(墓誌中では陰雲)の墓誌を紹介。
冒頭の墓誌概述で、「未公開の墓誌」と述べているが、
すでに王其褘・周暁薇主編『隋代墓誌銘彙考』第一冊(線装書局、2007年)と、
楊宏毅「隋《陰雲墓誌》考」(『碑林集刊』13、2008年)に、
拓本・録文・解説が掲載されている。
陰雲(陰寿)の事績についても、楊宏毅氏の論文の方が正確。

国文学研究資料館 公開講演会

国文学研究資料館 公開講演会
日時:2010年1月14日(木)13時00分
場所:国文学研究資料館第1会議室
講師:陳先行
題目:上海図書館の古典籍の収蔵について

2009年12月23日水曜日

感染症の中国史

飯島渉『感染症の中国史―公衆衛生と東アジア―』(中公新書、2009年12月)

『ペストと近代中国』や『マラリアの帝国』の著者のはじめての新書。
新書とか出ないかなぁ、と思っていた研究者の一人。
専門書のエッセンスが凝縮されている感じ。

19世紀末、ペスト・コレラなどの感染症の流行を契機に、
公衆衛生の確立を迫られた中国の苦闘を描く。
中国と帝国日本(植民地)の公衆衛生の関係も指摘。
列強諸国・帝国日本が植民地に行った公衆衛生事業について、
単なる「善政」ととらえるのではなく、植民地化の過程としてとらえる必要性を述べる。

2009年12月20日日曜日

手も足も

最近の寒さに手も足も出ません……。

なお、写真は秋に撮影したもの。猫はぬくぬくしてるはずです。
野良なのにこのフォルム。猫というより芋虫に近い気が……。

EurAsia3000年

もう、かなり今さらですが、まだ間に合うはず、
ということで紹介します。

「EurAsia3000年 海と陸のシルクロード」
会場:横浜ユーラシア文化館
会期:2009年9月19日~2010年1月11日
休館日:月曜日・年末年始(12月28日~1月4日)
開館時間:9時30分~17時
入館料:一般500円 小中学生250円

展示構成:Ⅵ部構成で、陶磁器・青銅器・ガラス碗・地図などを展示。
Ⅰプロローグ(6世紀以前のシルクロード)、Ⅱ唐とイスラーム世界、
Ⅲモンゴル帝国の出現、Ⅳ大航海時代前夜 
Ⅴ大航海時代、Ⅵエピローグ(横浜を通過したシルクロード研究者)

2009年12月18日金曜日

オブジェの方へ―変貌する「本」の世界


先日、うらわ美術館で開催中の「オブジェの方へ―変貌する「本」の世界」展に行ってきました。
うらわ美術館は、「本」のアートをコレクションの柱にしている美術館で、
現在、1180点収蔵しているそうです。
今回は開館10周年記念ということで、コレクションの一部(67点)を展示中。

うらわ美術館は、シンプルでこじんまりとしていて、
客もあまり多くない感じ。今回の展覧会もちょっと地味目。
でも、国外・国内の様々な「本」に関する現代アートが並べてあって、
とても面白かった。


針で聖書を丹念にほぐした
イー・ジヒョン「007SE0711(聖書)」。

福田尚代の「佇む人たち」は、
小口を削った文庫本をずらりと並べて羅漢に見立てた作品。
まるで木製の彫刻みたい。

中村宏「機甲本 Ιχαρος(イカルス)」は、
稲垣足穂の短編小説を銅版にしたもの。総重量23kg。
外観と小説の内容が密接にリンクしている。
というか、単純にかっこいい。

西村陽平と遠藤利克は、焼いた本を展示。
西村作品は、鮮やかな白が奇妙に美しく、
遠藤作品は、2000冊の黒ずんだ本が重厚で圧巻。

柄澤齊の「書物標本Susanna」は、
まるで化石を見ているよう。


今回の展示で、ほぼ共通していることは、
本なのに、「読めない」(または極めて読みにくい)ということ。
焼いたり、塗りつぶしたり、重かったり、解体したり。
大体、物理的に読めないようになっている。
「本」とは何か、「読書」とは何かを考えさせられる。

でも、「本」があると、読みたくなるのが人情というもの。
ぜひ、「読む」という行為を含んだアートも展示してほしい。

「読めない」で思い出したけど、 うらわ美術館は
徐冰の作品を持っているのだろうか。
もし持ってたら、ぜひ展示してほしいなぁ。

徐冰「天書」(1987~1991年作成)











「オブジェの方へ―変貌する「本」の世界」
会場:うらわ美術館
会期:2009年11月14日~2010年1月24日
開館時間:10時~17時(土日のみ20時まで)
休館日:月曜日・年末年始(12月27日~1月4日)・1月12日
観覧料:一般500円、大高生300円