最近、期せずして、立て続けに魏晋洛陽城に関する論文を読みました。
まずは、佐川英治「曹魏太極殿の所在について」(岡山大学文学部プロジェクト研究報告書『六朝・唐代の知識人と洛陽文化』2010年1月)。
曹魏時代の太極殿については、
従来、後漢の南宮に建造されたと理解されてきたが、
近年では、考古学の成果などにより、後漢の北宮に
曹魏明帝の太極殿があったという説が有力になってきている。
しかし、佐川氏は「後漢北宮―魏明帝太極殿」説の
根拠となっている「魏曹植毀鄄城故殿令」を詳細に分析し、
「後漢北宮―魏明帝太極殿」説を証明する史料に
なりえないことを指摘。
また、考古成果によって、北魏の閶闔門が
魏晋期の宮門を継承していることが明らかとなったが、
その宮門を曹魏明帝期の闔閶門に
比定してよいか疑問が残るとする。
これらのことから佐川氏は、近年の研究動向と異なり、
後漢の南宮に曹魏明帝の太極殿があったという従来説が
正しいのではないかとする。
曹魏洛陽城を積極的に評価する近年の研究動向と
かなり異なった評価をしています。
中国都城史を考える上で魏晋洛陽城の研究を
深める必要があるようです。
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追記:2011年2月18日(金)
上記の論文は、岡山大学学術成果リポジトリで
読むことができます。
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