高文謙著、上村幸治訳『周恩来秘録―党機密文書は語る―』上・下(文春文庫、2010年5月)
2007年3月に刊行された同著の文庫化。
著者自身はもともと中国共産党中央文献研究室に勤務して、
周恩来生涯研究小組組長をつとめたが、天安門事件後に渡米した人物。
ただ、この本はあくまでノンフィクション。
「「大宰相」周恩来のイメージを覆す衝撃の書」というけど、
まぁ、どちらかといえば、予想通りの内容。
生き残るために、心ならずも文革に加担し、
戦友たちを切り捨てる側に回ってしまった悲劇と責任。
文革と行政のすりあわせに神経をつかう日々などなど。
ただ、予想以上だったのが、周恩来に対する毛沢東の嫉妬・猜疑心。
ここまでやるかぁ、といった感じ。しかし、もっとすごいのが、
様々な罠や闘争をギリギリでなんとか回避して、生き残った周恩来。
この才能を行政・外交の場で思いっきり活用できたらよかったのに。
到底まねできないけど、ある種の教科書として読むことも不可能ではない。
0 件のコメント:
コメントを投稿