野間秀樹『ハングルの誕生―音から文字を創る』(平凡社新書、2010年5月)
全9章(序章・1~8章・終章)構成で、
前4章がハングル前史・ハングルの構造、
後4章がハングル(正音)の誕生から現在までの歴史を扱っている。
「はじめに」で、言語・文字自体について考えることを避けたい人は、
序章・第1章から第4章に飛んでも構わない、
と述べているが、その読み方はものすごくもったいない。
第2章で、漢字の構造、訓読の構造などを語った後、
第3章で、20世紀言語学を先取りしているハングル(正音)の仕組みについて、
詳細に論じ、「〈正音〉は音韻論、音節構造論、形態音韻論の三層構造である」
と述べている。この第3章こそが本書の核で、一番熱入っていて面白い。
言語学の知識がないため、ついていけないかな、と最初は思ったのですが、
全くそんなことはなく、十分楽しめました。
第4章のハングル(正音)の誕生は、ちょっとあっさりしているけど、
第5章では、ハングル(正音)は近代以前あまり使われていなかった、
というイメージを見事に打ち破ってくれます。
新書としては、368頁(本文319頁・索引・年表などが48頁)と
ちょっと大部ですが、読みごたえあります。
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