2010年3月31日水曜日

新・現代歴史学の名著

樺山紘一編著『新・現代歴史学の名著―普遍から多様へ―』(中公新書、2010年3月)

樺山紘一氏が編集した『現代歴史学の名著』(中公新書、1989年6月)の続編。
「はじめに」にのっている前著のラインナップを見てびっくり。
1989年に編纂されたとは到底思えない。60・70年代時点の「現代」な気がする。

で、今回のラインナップは以下の通り(評者・著者は省略)。
『中国の科学と文明』、『文明の生態史観』、『ワイマール文化』、
『近代世界システム』、『モンタイユー』、『チーズとうじ虫』、
『もうひとつの中世のために』、『オリエンタリズム』、
『無縁・公界・楽』&『日本中世の非農業民と天皇』、
『定本 想像の共同体』、『イングランド社会史』、『記憶の場』、
『ファロスの王国』、『帝国主義と工業化1415~1974』、
『歴史と啓蒙』、『1917年のロシア革命』、『敗北を抱きしめて』、
『近代移行期の人口と歴史』&『近代移行期の家族と歴史』

このなかで持っている本は、たったの5冊……。
前から読もうか迷っていた『チーズとうじ虫』、
『敗北を抱きしめて』は、読みたくなってきた。
近日中に古本屋に走ろう。

前著が日本と欧米に関する本しか取り上げていなかったのに対し、
今回はニーダムの『中国の科学と文明』とサイードの『オリエンタリズム』、
アンダーソンの『想像の共同体』などを紹介している。
とはいえ、偏りはいなめない。
あと、『文明の生態史観』をいま取り上げる意味がよくわからない。

まぁ、読者によって取り上げてほしい本が違って当然なので、
これはこれでいいのかもしれない。
日本史研究者やアジア史研究者が編纂したら、
また違ったラインナップになることは間違いない。
いろんな立場から、それぞれの『現代歴史学の名著』を
出してくれればいいのだけど。

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