2013年3月12日火曜日

史滴34

『史滴』34(早稲田大学東洋史懇話会、2012年12月)

特集が組まれているわけではないけれど、
かなり面白い一冊となっている。

論説は以下の通り。
小倉聖「『淮南子』天文訓「二十歳刑徳」の「刑」・「徳」運行について」
川手翔生「嶺南士氏交易考」
王博「献俘礼から見た唐・宋軍礼の変容」
高井康典行「唐後半期から遼北宋初期の幽州の「文士」」
尤東進「北宋禁軍における「異族兵」について」
高橋誠「永楽仁孝皇后夢感功徳経の研究」
孫暁瑩「清代内務府商人に対する監督と処分について―損失補償と任免を中心にして」

川手論文は、嶺南における士燮の勢力形成を扱った前稿に続く論稿。史書にみえる物産に着目し、南海交易よりも西南シルクロードとの交易が重要だったのではないかとする。
高井論文は、意外に研究の少なかった唐代後半の幽州藩鎮を取り上げ、どのような人々が上級幕職官に就任したかを追跡し、五代・北宋初期・遼との関係を考察している。
尤論文は、数こそ少ないものの北宋禁軍中に「異族兵」が存在することを指摘。


そのほか翻訳・訳注は以下の通り
王明珂著、柿沼陽平訳「中国漢代の羌―生態学的辺境と民族的境界(五)」
ソグド人墓誌研究ゼミナール「ソグド人漢文墓誌訳注(9)西安出土「安伽墓誌」(北周・大象元年)」
古代東アジア史ゼミナール「祢軍墓誌訳注」

「中国漢代の羌」は、ブックレットみたいな形で是非まとめてほしい。

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