『三国志研究』第五号(三国志学会、2010年9月)
目次は以下の通り。
【講演】
川合康三「身を焼く曹植」
【論考】
並木淳哉「蜀漢政権における権力構造の再検討」
髙橋康浩「韋昭「博奕論」と儒教的理念」
島田悠「孫呉滅亡後の三呉―西晋の三呉支配―」
上原究一「「漢兒」なる張飛―金末の張飛人気と「燕人」の来源―」
竹内真彦「青龍刀と赤兎馬―関羽像の「完成」過程―」
中川諭「黄正甫刊『三国志伝』三考」
後藤裕也「余象斗本『三国志演義』評語小考」
田村彩子「川劇三国戯「上方谷」をめぐって」
藤巻尚子「『太平記鈔』における三国志の受容―『太平記賢愚鈔』との比較を始点として―」
清岡美津夫「現代日本における三国要素の変容と浸透―アクセス集計を事例に―」
【文献目録】
朝山明彦「関帝信仰研究文献目録【和文編】」
【資料整理】
後藤裕也「余象斗本『三国志演義』評語翻刻」
【翻訳】
増田真意子「周澤雄著「文和乱武」―詐欺師的策謀家から有徳の大臣へ―」
【雑纂】
前川貫治「三国志迷いの旅(四)―安徽・江蘇の旅―」
歴史・文学・版本学・演劇・日本における三国志受容など、
様々なジャンルの論考があって、読み応えがある。
号を重ねるごとに、徐々に歴史分野の論考の割合が減っている気もするけど、
それはそれで、まぁ、いいのかもしれない。
(四号は東方学会の原稿が掲載されているので、歴史分野が多く見えるが、
論考だけを見ると、意外に歴史分野の割合は低い)
若干、気になったこととして、
資料整理の翻刻は、後藤論文の直後につけたほうが、効果的だったように思える。
あと、翻訳については、書誌情報・作者などに関する解題がついておらず、
掲載意義がよくわからなかった。
個人的には、清岡論文のサイトのアクセス集計から見る
現代日本の三国志受容の様相が興味深かった。
ゲームやアニメなどの三国志的要素を持った作品の流行・受容が、
三国志などの根源に関心を向ける動きにつながる様子は、
アクセス集計を見る限り確認できない、という結論は重要な指摘なようにも思える。
多分、実際にはゲームやアニメから、三国志そのものに興味を持つ人も出てくるだろうし、もともと興味ある人がゲームやアニメにも関心を持つこともあるだろうから、
一概にいえないだろうけど、必ずしもゲーム・アニメなどの流行が、
三国志人気につながるわけではない、というのは間違いないだろう。
三国志ですら、そうなのだから、
ましてやゲームもアニメもな~んにもない他の時代では……。
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