歴史学者が書くこんな史学概論を待っていた。
史学概論といっても、史学史や研究法などではなく、
歴史学とは何か、という問題を正面から扱っている。
目次は以下の通り。
はしがき
序論:史学概論の目的
第1章:歴史学の目的
第2章:歴史学の対象とその認識
第3章:歴史学の境界
第4章:歴史認識の基本的性格
問題は多岐にわたっていますが、カギとなるのは、事実と真実。
歴史学は、事実には迫りうるが、真実は扱えないとする。
もちろん、言語論的転回論を踏まえ、素朴実在論は否定している。
しかし、その一方で歴史「物語り」論も否定している。
著者は、基本的に事実実在論の立場を取るが、
部分的または全面的に「揺らぐ」事実(主に事件史・文化史など)が
存在することを指摘し、「柔らかな実在論」を提唱している。
不勉強なだけかもしれませんが、
歴史学者が言語論的転回論や「物語り」論に
ここまで正面からまとめて応答したことは、
これまであまり無かったような気がします。
僕個人としては、納得の内容(影響されやすいだけかも)。
ま、先鋭的な研究者なら、頑固な見解とみなすでしょうし、
逆に「柔らかな実在論」に納得いかない人もいるでしょうね。
今後の議論が楽しみです。
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