川本芳昭「遼金における正統観をめぐって―北魏の場合との比較―」(『史淵』147、2010年3月)
遼・金において、中華意識・正統思想が出現していたことを指摘し、
従来の「征服王朝論」と齟齬する面があるとする。
特に、遼・金の徳運採択の実態を分析し、
金における徳運変更の議論が、北魏の徳運変更の過程と
類似していることを明らかにしている。
遼と宋が相互に北朝・南朝という自己意識を持っていたことは、
毛利英介「十一世紀後半における北宋の国際的地位について―宋麗通交再開と契丹の存在を手掛かりに―」(『『宋代中国』の相対化』汲古書院、2009年7月)で指摘されていたが、さらに正統思想・徳運から、遼金の自己意識に迫っていて、
興味深かった。
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