『アジア遊学129 中国のイスラーム思想と文化』(勉誠出版、2009年12月)
近年、研究が急速に進められている「中国イスラーム哲学」を中心に、
中国におけるイスラーム思想と文化に関する論稿を掲載。
明清代に登場した中国イスラーム哲学は、
朱子学の用語を使いつつ、独自の思想を打ち立てた。
面白そうだなぁと思いつつ、朱子学・イスラームに関する知識が乏しいため、
「中国イスラーム哲学」そのものを扱った論稿は、ちょっと難しく感じてしまった。
個人的に面白かったのは、以下の三篇。
矢島洋一「元朝期東アジアのスーフィズム」
中西竜也「アラビア語と漢語を結ぶ中国ムスリム像」
木村自「虐殺を逃れ、ミャンマーに生きる雲南ムスリムたち―「班弄人」の歴史と経験」
矢島論文は、カラコルムのペルシャ語碑文とハラホト出土のペルシャ語文書から、
元朝期のスーフィズムについて紹介。
中西論文は、清末民国期のムスリム学者(馬徳新・馬良駿)における漢語著述とアラビア語著述の視差を指摘し、両方の眼で見ることの必要性を説く。
木村論文は、清末の雲南におけるムスリム弾圧から、ミャンマーに逃れた人々を中心に形成された「班弄人」のアイデンティティ問題について論じている。
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