遠山一郎・丸山裕美子編『いくさの歴史と文字文化』(三弥井書店、2010年3月)
愛知県立大学日本文化学部国語国文学科と歴史文化学科の教員が中心となっている科学研究費補助金「戦に関わる文字文化と文物の総合的研究」による企画。
2008年に行われた二回の研究集会がもとになっている。
収録論文は以下の通り
笹山晴生「基調講演 七世紀東アジアの戦と日本の成立」
孟彦弘「唐前期における戦争と兵制」
李相勲「白村江戦場の位置と地形について」
倉本一宏「白村江の戦をめぐって」
丸山裕美子「七世紀の戦と律令国家の形成」
犬飼隆「白村江敗戦前後の日本の文字文化」
鈴木喬「七世紀における文字文化の受容と展開」
方国花「古代朝鮮半島と日本の異体字研究―「部」の字を中心に」
遠山一郎「いくさが投げかけた影―額田王と天智天皇との万葉歌」
身崎壽「防人のたび」
個人的に興味深かったのは、李相勲論文。
現在でも議論がある白村江の所在地について、
古環境学の成果を用い、朝鮮半島西部の7世紀の海水面が現在より高く、
海岸線・河口の地形が異なっていたことを指摘し、新見解を提示している。